もしも未定

 

※もしもシリーズ

 ・もしもソラが声フェチだったら

 ・もしも菫がウザいギャルだったら

 ・もしも菫が阿呆なオタクだったら

 ・もしも火事なんて起きなかったら

 

※もしもソラが声フェチだったら

 

「・・・声だけ、とか。・・・会いたいよ、ソラ。」

「え?菫何言ってんの?」

「え?」

「声だけだから良いっていうか萌えるっていうか、いや実は言ってなかったんだけど僕菫の声すげぇ好きなんだよね。高すぎず低すぎず。いやさ、僕はちょっと高めで透明感あるハスキーヴォイス大好きなんだけどさ、わかんないかなー。会いたい事は会いたいけどこの声だけでも満足っていうかお腹いっぱいっていうかナイス萌えツボありがとうございますごちそうさまです。あ、あとついでにハスキーヴォイスはハスキーボイスじゃなくてハスキーヴォイス。ボじゃなくてヴォだから。ここ僕的にはすごい重要なポイントだから。あー、低めなハスキーも良いけどやっぱり男心をくすぐるのは高めのハスキーだと僕は思うんだけど、」

「・・・ソラ。」

「何?」

「気持ち悪い。」

 

 

※もしも菫がウザいギャルだったら

 

「へー、ここが巫女さんの家かぁ。」

「誰ぇ?」

「え?」

「えー、なになに人間?滅多に来ないのにいるとかちょっとマヂウケるわー。」

(・・・え、何に?)

「返事無いとか、あ、もしかして神様系?K・A・M・I・S・A・M・A?え、テンションマヂ上がるんですけどー。パネェっすわー。」

(??????)

「ちょっとマヂ握手してよぉ、って壁越しだったわ、てへぺろ。あたしってば天然ー。イケてるー。」

イラッ

「うるせぇ!!!!!」

「いきなり怒るとか短気キモーい。ウザーい。」

「お前がな!!!!!」

 

 

※もしも菫が阿呆なネット中毒だったら

 

「へー、ここが巫女さんの家かぁ。」

「え、ちょ誰っすかwwww」

「へ?」

「こんな所に人間とかww山登り乙すぎな件ww」

「・・・。」

「返事無いとか神様っすか?うわ、生神降臨!!ネ申とかキタコレ!!不意打ちわろたwwww」

「・・・・。」

「あ、ちょっと神様今パソ持ってます?スカイプ、スカイプしましょーよwwww」

「・・・ごめん日本語喋って。」

 

 

*本当はキタコレの表記はktkrですがわかりやすさのために一応(´・ω・`)

 

 

※もしも火事なんて起きなかったら

 

「ソラ。」

「菫。」

「・・・会いたい、ねぇ。」

「・・・会いたい、けど。僕はさ、もうこのままでもいい気がするんだ。」

「どういうこと?」

「平和でハナや燕さんと話してぼんやりする。何もないままでもいいんじゃないかって。幸せなんじゃないかって。」

「・・・うん。」

 

 

 

そんな話がソラとした最後の会話だった。

 

 

 

「菫!!!!いる!?」

「どうしたの、ハナ。」

「・・・ソラが消えた。」

「え?」

理解ができない。

ハナは何言ってるの?

だってついさっきまでソラは

ソラは

ソラは

 

ソラは、“怪”なんだ。

息を吐くように生まれて息を吸うように消える。

 

『いつ消えるか、わからないんだ。』

このままでいい、なんて。

私は何を平和ボケしてたんだろうね?

『菫。』

大切な人に、会えもしなかったんだ。

顔も見られなかったんだ。

触れられなかったんだ。

『菫、好きだよ。』

あなたの声が好きでした。

あなたの話し方が好きでした。

あなたの全てが好きでした。

 

あなたが好きなんです。

 

「う、うぁ、うぅ・・・。」

何かわからない温かいものが頬をつたう。

コレハナンデスカ?

「菫!!!」

「ソ、ラ・・・っ。」

嗚咽がこみあげてきて上手く喋れない。

今にも菫泣かないで、なんてソラが笑ってくれる気がするのに。

 

ソラはいない。

 

会いたかった。会えなかった。

 

「ソラっ・・・!」

そんなに名前を呼んでどうしたの、なんて笑ってくれる気がするのに。

 

「ソラぁ・・・!!!!!」

どこにいるの

返事してよ

 

「ソラ!!!!!!」

虚しく、夜の山に響く。

 

ねぇ、この山にたくさんいる神様。

私は、ソラがいてくれればいいのに、どうして、どうして、

神様は、どうして、

 

 

 

ソラはどうしていないの。

 

 

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